会社を経営してる人も勤務している人であれ何かと比較される事の多い時代になってきている。スマホの普及でパッと調べればあっという間に検索結果で比較完了となる。自分だって何か物を買う時にはネットで価格を調べて比較して買うだろう。とにかく簡単に色々な事が比較できる時代に突入して、便利さを享受する一方で仕事には少なからず弊害が出てきたように感じてしまう。
例えばあるリフォーム屋さんが見積書を提示したらお客さんにに目の前で品物の値段を調べられて、「ネットの方が安い!ボッタクリ」と言われたそうた。続けてお客さんに「ネットで品物買うから付けてくれ」と。それならリフォーム屋さんは「単価はこのくらい貰うし、補償も付きませんよ」と答えたら激怒されて最後に「諸経費って訳わからない金も取るし頼まない」と破談になったらしい。建設業界にいる僕からしたらリフォーム屋さんの言うことは至極マトモだし理解できる。むしろネットで買ったものも付けるなんて親切だなと思うくらいだ。
取付単価は技術料だし、諸経費に関してだって会社の経費、工具やら何やらお金が掛かっているのだから仕方ないのだ。だけどネットにはそんな部分は出てこなかったり、大手ホームセンターのリフォーム案内看板にだって小さい文字で書いてある程度。
後日談としては大手リフォーム会社に依頼したら、見積は安かったけど現場に来たら、アレコレ足りないと言われて、最初のリフォーム屋さんの見積りよりだいぶ高くなったそうで、あとで謝りと愚痴の電話がお客さんから来たそうな。
僕は建設業界なので話のベースがそっち寄りになってしまうけど、今の話にはストーリーと考える部分がいっぱい隠れてる。
例えば大手リフォーム屋さんの見積書は最初の入口は安く、後から色々と交渉しながら貰っていく「後出しジャンケン」方式だし、かかる分を全部考えて提案した町のリフォーム屋さんは良心的な提案をしている「コミコミ」方式。
でも結果はスタート価格が安い方に仕事が取られてしまった。
お金という結果で見たら、お客さんは結局は損した形になるし、街のリフォーム屋さんは仕事が来なかった、大手リフォーム屋さんはお客さんの評価が低くてもしかしたら口コミも落ちるかもと誰も得をしていない。
価値観の最適解をお金にした結果がこれだろうし、フォローやメンテナンスなどを考えると過度な比較も考え物だと思ってしまう。
考える部分もあると思ったのは、価格以外の所をアピール出来なかった事も問題かなと思う。施工側の価格以外の優位性や意義をお客さんには伝えない限りはお客さんはお金しか比較できない。
「比較社会では他社にも他社にも勝つには自分の強みを見つけてアピールする時代になった」と思う。この前読んだ記事に強みをカテゴリーにした物があった。
1.素材(材質・内容)
2.技術
3.人
4.所持(道具や仲間)
5.ルート(仕入先、納期など)
6.使い道
7.対応(フォロー)
8.特典 (サプライズ、こんな事もできるなど)
など他社や他者とは横並びの部分はあれど、工夫次第では優位性をアピールする事ができる項目も色々とありそうだ。提案や当たり前にやっていたことを丁寧に説明して理解してもらう事が重要じゃないかと僕は思う。比較社会では待っていてもある程度の仕事は来るだろうけど伸び悩むし、新規客にはアピールなどして行かない限り認知されることは難しくなるだろう。
自分の強みを見つけて他者や他者に勝てるアピールポイントを相手に理解してもらい、戦っていかなければならない。価値観の第1位が価格であったら大手には敵わない。相手の求める事を理解して重要視している価値を再考してもらうために優位性を自分も把握して仕事していかなければならないんだろうと思う。
見積書アピールで僕は「ユニクロではなくてオーダメイドのお客さんには寄り添った品質の物作りします」と言った。
お客さんは「ユニクロは安くて品質良いけどね」と答えた。
他者と他者の壁は高い。
「全く頭の痛い話だ」と僕は頭を抱えた。