You've got another think coming

建設会社の総合サポート屋の考える事

見積あと出しジャンケンに勝つことを考えてみた。

ワクチンの普及や医療従事者の皆様の努力もあってコロナは完全には無理でも、緩やかに消息化に向かっているように思える。コロナが落ち着いてくると同時に騒がれるのが、アフターコロナ後の世界や景気についてだろう。世界については想像のつかない事が多々起きるだろうと思うけど、不景気についてはヒタヒタと忍び寄っている印象はある。僕が仕事している建設業全体では人手不足もあり、工事量もまだまだありそうな予感ではあるけれど、税金主体なので好不景気にダイレクトで影響を受けていく事が予想される。

これからの建設業に関しては慢性的な人手不足の解消は他業種からの転職や女性の進出などで緩和されるかもしれない。只、同時に工事量の減少も予想されるので、厳しい現実も横たわっている。

建設業を経営していると相見積もり等でとかく比較されることが多いと思う。建設業に限らず販売や小売りなどおよそ商売している限りは比較され、発注会社の価値観で選択されていく事が多い。ビジネスセミナーやYoutubeでも勉強会でも他社に真似できないものを作りなさいや、弱小でも顧客が頼みたくなるような物を作りなさいなどと先生は言う。中小企業を経営していると講師のいう事はごもっともで大手と同じことをしていては中小は資金力、規模等で勝つことはできないだろう。

見積りを出すことから仕事への第一歩となることから、僕はなるべく早めに出そうとする。早く出したからといって仕事が貰えるなんてことは無いけれど、こちらの説明や状況等の情報共有をしたいと思うから。そんな僕に対して大手他社は「あと出しジャンケン」で見積を出してキッチリ仕事をもらう横綱相撲である。なんで負けるのか、最後にすくい投げを食らうのかとイライラしてハイボールを飲みまくった夜もあり、大手他社のせいで肝機能が低下した。

そもそも貧すれば鈍ずるで価格だけで勝負している気はないつもりだったけれど、実は価格に一番こだわっていたのでは僕なのではと考え始めた。たしかに価格は大事な要素ではある。価格では資金力もシステム化されている大手他社に勝つことはできないとは先程言った通り。それなのに大手他社のホームで戦う事を選択しているんだから負けるに決まっている。じゃあ見積をどうしたら採用してもらえるのか、あと出しジャンケンに勝てるのかと言うと、「安心感」に尽きるのではと思う。安心感とは相手の不安な部分や困っている事、気づいていない事などに対してとなる。

価格にとらわれて、発注者にとっては最初で最大の情報源になるのが見積書なのだ。それなのに価格をメインに不明瞭で見づらい見積書では不安を増大させるだけで、それでは価格と大手ならではの受注量の多さなどの安心感に勝てないのは当然。細かな配慮やヒアリングが重要で不明瞭な中から不安を取り除くには「どうすれば解決できるか」を提案していく事が大事だど気づいた。提案を盛り込んだ見やすい見積は当然として、資料や工程スケジュール表なども活用して信頼して貰い受注に繋げていかなければならにいだろう。

「見積書を提出する事は自社にとっての優良顧客を獲得するためのパスポートなのだ」

自分の考えや価値観を共有する事ができる顧客に出会うための第一歩と考えてからは気持ち的に楽になった。夫婦生活もそうだろうが、価値観が合わなければどこかで破綻するだろうし、価値観や考えに共通点が多ければお互いにメリットのある関係で未来を築くこともできるだろう。

そんな思いで腐らずにドンドン見積を出していこうとポジティブに考えてこれからやっていくんだと決意し、顧客に提出した。

顧客の「高いなぁ」との一言にポジティブは削られたけど、見積書がパスポートなら今は入国審査なのだと言い聞かせ、僕は説明を始めたのだった。